プレコンセプションケアについて

卵子凍結ガイド

親子ともに健康な未来を目指すために、できることを改善する。それがプレコンセプションケア

2012年に、WHO(世界保健機構)が提唱した「プレコンセプションケア」。コンセプションとは「受胎」を表す英語で、プレコンセプションケアとは直訳すると「妊娠前の健康管理」となります。

現代社会ではさまざまな研究から、妊娠前の健康状態が流産のリスクや新生児の健康に影響を与えることが分かってきています。また、若い女性の肥満や痩せすぎ、出産年齢の高齢化などから、不妊症やリスクの高い妊娠が増加しています。
元気な赤ちゃんをその手に抱き、笑顔の絶えない暮らしを送るために、男女ともに日頃の暮らしに気を遣って健康状態を改善し、妊娠前からリスクを減らすことが勧められるのです。

なお、プレコンセプションケアを広めるにあたり、WHOは『医学的・社会的・行動学的な保険介入を実施する必要性がある』と指示しています。
何やらわかりくいものですが、ようは、性的に成熟する思春期の頃から正しい知識を広め、健康的な生活を勧め、社会が一丸となって、元気な赤ちゃんを産み育てることができるよう、医療機関や自治体がサポートを行う必要性がある、ということ。こうした働きかけにより、日本では一般不妊治療や生殖補助医療が保険適用されました。

<プレコンセプションケアをはじめてみましょう>

今すぐできるプレコンセプションケア

(1)1日3食、バランスの良い食事を心がける

積極的にとりたい栄養素

葉酸
・ブロッコリー・ほうれん草・アスパラガス・パプリカ・枝豆・鶏レバー など
胎児の神経管閉鎖障害のリスクを下げるために、厚生労働省では妊娠の可能性のある女性は水溶性ビタミンの一種である「葉酸」をサプリメント等で摂取することを呼び掛けています。

ビタミンD
・ツナ缶・鮭・しらす干し・きのこ類・卵・牛乳 など
胎児の成長・発育に欠かせない栄養素。体内にビタミンDが十分にあると、着床率や妊娠率、出生率の向上に関連することがわかっています。

亜鉛
・赤身の牛肉・牡蠣・レバー・するめいか・うなぎ・アーモンド など
男女ともに、生殖機能の向上に欠かせないとされる栄養素です。亜鉛が不足していると、赤ちゃんの発育に影響を及ぼす可能性があるとも言われています。

(2)適度な運動を行い、適正体重(普通体重)をキープする

BMI(肥満度を表す体格指数)

※BMI計算方法:体重㎏÷(身長m)²

18.5未満低体重(痩せすぎ)
18.5以上、25未満普通体重
25以上、35未満肥満
35以上高度肥満

痩せていることを良しとする文化が浸透した日本では、痩せすぎによる不妊が問題になっています。美しく見える体ではなく、健康な体を目指しましょう。

(3)生活リズムを整え、良質の睡眠をとり、ストレスをためない
(4)喫煙(受動喫煙含む)や、過量の飲酒はやめる
(5)歯科医に通い、歯周病のケアを行う

女性の歯周病の有病率は10~20代で約20%、40歳前後では30%を超えるというデータがあります。近年、歯周病が不妊や早産、低出生体重児といった妊娠期のトラブルの原因となることがわかってきているので、歯を健康に保つことも立派なプレコンセプションケアになります。また、歯周病は心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病といった怖い病気のリスクを高めることも分かっています。半年に1度は歯科を受診し、口腔内のケアに努めましょう。

上記のほか、
・定期的に検診を受け、自身の体調について知る
・妊娠について正しい知識を得る
・感染症から自身を守る
・危険ドラッグを使用しない
なども心がけたいもの。パートナーにも、同様にプレコンセプションケアを行うよう伝えることが大切です。

Dr.おっちぃ

1,756 views

越知 正憲☆女性が思い通りの未来を選択できるように応援します!

プロフィール