そもそも妊娠するとは?

卵子と精子がタイミングよく出会うことから始まる、生命の神秘。それが「妊娠」です
女性の子宮内で「精子」と「卵子」が結ばれる。これが妊娠の第一歩です。
卵子は女性の体内にある卵巣という器官で作られます。卵巣は子宮をはさんで左右に1つずつあり、胎児期に作られた卵祖細胞が体細胞分裂した「一次卵母細胞(原子卵胞)」となった状態の卵子が、卵巣の中で成熟する日を待っています。この一次卵母細胞がホルモンの働きにより、約85日かけて成長。成熟したところで卵巣から排出され卵管へと移動し、妊娠する準備が整います。
排卵された卵子の寿命は、最長で24時間ほど。受精可能な時間は6~8時間で、その間に受精しなかった卵子は役目を終えて死んでしまいます。
精子は男性の陰嚢内にある、精巣(睾丸)という器官で作られます。精巣の中には精粗細胞と呼ばれる細胞が予め存在し、幼い頃は精粗細胞のまま休眠しています。思春期頃になるとこの精粗細胞が活性化し、体細胞分裂することで精子が形成。精祖細胞から精母細胞、精子になるまでの期間は概ね70~80日とされています。
子宮内に放出された精子は、空気に触れなければ2~3日ほど生存が可能で、このため、排卵日をまたいだ前後「5日間」が、妊娠しやすい時期とされています。
卵子と精子が出会うと受精卵となり、細胞分裂を繰り返します。この間に4~5日をかけて少しずつ卵管から子宮へ移動し、ホルモンの影響でやわらかなベッド状態になった子宮内膜に到着。子宮内に侵入し、受精から12日ほどをかけて着床を完了します(少量の出血を起こすことがあり「着床出血」と呼ばれています)。着床した受精卵が受精杯に成長すると、10日ほどで妊娠反応が出て、順調に育てば約260日で出産を迎えるのです。
このようにさまざまなプロセスがあって成り立つのが妊娠です。成熟した卵子はたった1つが排卵されるのに対し、性交時、1回に放出される精子はなんと1億個以上。この数を見ても、卵子と精子が出会うことがいかに大変で奇跡的なことなのかが分かっていただけることでしょう。
ずばり、健康な赤ちゃんを産むためには、健康な卵子と精子が出会うことが重要です。今はまだ妊娠したくないけれどいつかは出産を――と考えるならば、健康な成熟卵子を長期保存できる「卵子凍結」を、選択肢の1つに加えてみてはいかがでしょうか。