排卵誘発法について

質の良い卵子を得るために、一人一人に適した排卵誘発法を選択することが大切です
「卵子凍結の方法」の項でも触れていますが、通常であれば1生理周期につき1個が排卵される卵子の数を複数個に増やし、来るべき未来、より妊娠できる確率を高めることが推奨されています。その理由は、卵子はそれぞれに個性があり生存率や着床率が変わるため。卵子を多く採取して備えておくことは、受精率・妊娠率を高めることにつながるのです。そのために行われるのが「排卵誘発」という治療法で、卵子凍結には欠かせないステップになります。
卵巣を刺激するためには「排卵誘発剤」という薬を、服用または自己注射などで投与することが一般的です。この排卵誘発剤は大きく分けて、
①卵胞(卵子)の発育を促すもの
②排卵を促すためのもの
③排卵を抑えるためのもの
の3つの種類があります。
①は主に、排卵障害や月経不順、排卵のばらつきがある場合に使用されます。
②③は、採取するスケジュールに合わせて処方されるもので、より良い卵子を採取するためのタイミングは排卵直前がベストとされるため、患者の状況・状態、タイミングによって、①~③の中から最適なものが処方されます。
なお、排卵誘発を行うために、これまでは月経3日目から排卵誘発剤を投与するという治療が用いられてきました。現在ではさまざまな研究結果から、月経と月経の間に2~3回のリズムで卵胞の発育があることが判明。「ランダムスタート法」という、生理周期を気にせずに、いつでも排卵誘発を行うことができる治療も考案されたりと、排卵誘発法も症状に応じて様々です。
日本生殖医学会倫理委員会のガイドラインによると、採卵の推奨年齢は40歳未満で、できれば35歳以下での卵子凍結が推奨されています。こうしたタイムリミット的に生理周期が整うのを待つ時間がない場合、または、できるだけ若く健康なうちに卵子凍結を行いたいと望むのであれば、ランダムスタート法を卵子凍結の際の選択肢に入れるといいでしょう。